■Online Journal NAGURICOM
沢栄の「さらばニッポン官僚社会」
第122章 民主党新政権と財源問題/「埋蔵金」を活用せよ

(2009年8月31日)

民主党新政権が誕生した。総選挙による初の歴史的な政権交代である。新政権が盛り沢山のマニフェストをしっかり実現できるかどうか ― そのカギは、財源問題にある。
筆者(北沢)は、以下に述べる国の余剰資金・特別会計の活用スキームにより財源問題を一挙に解決できるとみる<資料1 特別会計ノート>(差替版)(PDFファイル)。すなわち、特別会計の積立金と剰余金のうち50兆円を原資に期間3年間の「国民経済・生活支援基金」を創設する。日銀がこれに監督・調整役として関与し、資金のファイナンス及び特別会計の資金チェックに当たるスキームである。
<図1 埋蔵金で新基金をつくる仕組み> <資料2 新財源(案)> <資料3 日銀を特別会計資金の監督・調整役に活用(案)>(PDFファイル)

財源を2008年3月末時点でみると、可処分積立金(国民が積み立て、必要時に国民に直接給付される年金・労働保険資金を除く)は47.4兆円、可処分剰余金は同じく年金資金などを除く39.2兆円、総額86.6兆円ある。これをそっくり新基金に移転し、うち50兆円相当を緊急の経済・失業対策及び生活インフラ・支援の原資に充てる。そして、残り36.6兆円相当は各特別会計の資金不足などに備える「予備費」とするのである。
他方、日銀の監督権限を拡大し、基金の監督・調整役として活用する。日銀は、基金の50兆円相当額を国民経済・生活用にただちにファイナンスし、特別会計積立金及び剰余金の出入り、預託・運用などの実態をチェックして、その結果を踏まえ、3年を目途に資金の回収などを図る。

以上のスキームにより、異形の財政制度(財政余剰の特別会計 vs. 財政赤字の一般会計)がもたらした、特別会計の巨額の可処分積立金・剰余金を即刻活用することが可能となる。
これを、新政権に提案したい。