■Online Journal NAGURICOM
沢栄の「さらばニッポン官僚社会」
<緊急速報2> 原発危機対応を急げ

(2011年3月22日)

自衛隊、消防隊員などによる必死の注水作業が続く中、福島第一原発で21日、3号機と2号機から相次いで煙が上がった。 注水の効果が上がり、周辺の放射能検出値に下落傾向が見え始めた矢先だけに、衝撃が走る。原因が不明なため、一層不気味だ。危機対応を急ぐほかない。
周辺農地のホウレンソウ、かき菜、原乳にすでに基準値を超える放射性物質が検出されたのに続き、21日には付近の海水からも同様に検出された。 さらに原発からの放射能漏れが続けば、魚介、水源へと汚染が拡大するのは必至だ。 チェルノブイリ事故では爆発した原子炉を結局コンクリートで封じ込めたが、最終段階での特殊機器・車両を使った上空からの生コン注入も準備する必要があるだろう。

今回の危機管理態勢には問題が多い。当初は「情報出し渋り」でつまずいたが、その後の枝野官房長官の状況説明は、批判を受け、いく分改善された。
だが、事故を引き起こした東京電力と所管官庁・経済産業省のトップは表に現れず、責任者として何を考え、どう行動しているのか不明である。
清水正孝・東電社長、勝俣恒久会長は背後に退いたまま、説明は副社長に任せきり。 清水社長が記者会見したのは、筆者の知る限り13日の1度だけで、負わされている説明責任から逃走した形だ。

海江田万里経産相ら政務3役の顔も全く見えない。 状況説明を役人にやらせているだけで、この未曾有の危機にどう取り組むのか、という政治判断が、待ち望む国民の前に一向に示されない。 被災地の現場に飛んで指揮する場面も、いまだに現れない。
住民、国民は不安の中で情報を十分得られず、危機対策の全容も今後の手順も知らされない―。 この深刻な事態を前に、右往左往する政府の危機対応を補強すべく、菅首相の呼びかけに応え、野党・自民党も時限型の緊急連立内閣に加わるべきではないのか。 もはや一刻の遅滞も許されないのだ。