■Online Journal NAGURICOM 山明の『気圧の魔』研究会報告 |
いざっ 同士よ来たれ
先日、会社を早めに引き上げようとしたら、入口で上司とばったり会った。「もう帰るのか」と言われた途端に、むっとして「何か不満がありますか」と言ってしまったのである。「いや、ない」「では失礼します」。
上司の顔にいささかとがめるような表情を見たと思ったら、自分でも予想もつかない対応に出ていた。
「ああ、気圧の魔が我を狂わす」
案の定、その日夜から雨になり、翌一日中降り続いた。
昨年から今年にかけて、うっとおしい天気が続いたが、こういう気候に私は弱い。気圧アレルギーなのである。湿度に弱いともいえる。低気圧がやってくる時は、まず眠くなり、次いで気分が悪くなる。感情をコントロールするのが難しくなって、気分は落ち込み、自信がなくなり、この世はすべて真っ暗闇だ。どうでもいいことに腹を立て、八つ当りまでしかねない。こういう症状は雨が降る直前にピークになって、不思議なことに、いざ降り出すと、憑き物が堕ちたように頭が軽くなり、気分がスーっとする。まさに生き返ったような心境だ。
だから、台風は最悪である。脳味噌が強引にかき回されるようで、妙な夢まで見る。台風が上空を通り越すまで、なめくじに塩状態、死んだも同然なのである。
当然のことながら乾燥した晴天の日はまったく逆で、気分壮快、元気溌剌……。
それにしても、春の台湾坊主、梅雨、夏の台風、秋雨前線、と気圧の通り道になっている日本に生を受けた、この悲劇。
そんなわけで私は、時間と金の都合がつけば、南の島に逃避行を試みる。こういう症状を呈する人は、程度の差こそあれ、他にもいるのである。かつて総合月刊誌の編集長をしていたころ、梅雨の最中にこういう編集後記を書いたことがある。
梅雨はつらい。眠っていても、なお眠い。西方から低気圧が押し寄せて、降るのか、降らないのか、重苦しい雨雲とべったりとした水蒸気があたり一面を覆っているときが最悪で、ザーっと勢いよく降ってくれると、かえってホッとする。コリン・ウィルソンが正体を突きとめた「大いなる古きものども」の仕業もかくやと思われるこの気圧アレルギー、どうやら仲間もかなりいるらしく、「気圧の魔」研究会ないしは患者同好会の結成を密かに画策している
反応はまったくなかった。よほど読まれていない雑誌だったのだろうか。
そこで私はキーボードに向かいつつこう考えた、わけである。インターネットなら全国から(英語版を作れば全世界から)同病者が集まるのではないか。きわめて特殊なテーマだからこそ、インターネット向けといえる。そういうわけで、私はこのコラムを書くことにした。インターネットというツールのメリットを、あるいは検証できるかもしれないと思ったわけだ。
いろんな人からメールをもらい、その事例を紹介したいし、気圧の人体に与える影響についての研究成果も教えていただければありがたい。気圧の魔からの逃避術を心得ている人がいるかもしれない。
だから「『気圧の魔』研究会報告」とした。同病者、同好の士からのメールをお待ちします。関連サイトがあれば、了解を得てリンクも張りたいと思います。本文関連リンクも随時更新していくつもりです。
よろしくお願いします。
★メールをください
気圧アレルギーでお悩みの方、ご連絡ください。この症例等についてはおいおい整理していくつもりですが、雨の降る前は気分が悪い、湿度に弱い、逆に乾燥したところではすこぶる元気だ、と気圧、あるいは天候に体調ないしは気分が著しく影響されるといったことで結構です。後にも触れますが、私は低血圧で、これも影響しているような気がします。メールをお待ちします。
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