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「中央省庁は自分たちの天下り機関を必死になって守り、やがて持久戦に勝って法人たちは2度3度と生き延びる「ゾンビ法人」に変身していく―。 このように、福田政権の浮揚を賭けた独立行政法人改革は「骨抜きの改革」に終わった。 ただし、一連の改革のカラ騒ぎは、それなりの「功績」も残した。 国民の多くは、またも繰り返された行革のまやかしぶりに怒り、失望した。 人びとは改革偽装を見抜いて、今度こそ「本物の改革」に向け、新しい切り口を求めないわけにはいかない。 こうして、財政危機とあいまって、多くの独法や特殊法人の不透明な資金源でもあり、伏魔殿とも呼ばれた「特別会計」が霧の中から浮上してきたのである」 「特別会計の不用金の活用は、92年度以来の実績に照らせば、最大12兆7000億円(1999年度)規模となる。 また最少でも9兆8000億円規模(1994年度)の資金を社会保障財源などに使えるのだ。 このことを逆に見れば、一般会計資金のやせ細りをよそに、肥大化した特別会計が10兆円規模の使い残しを毎年出すほどに、資金をダブつかせている実態を示す。 政治は、積立金と不用金というストックとフローの両面から余剰資金(埋蔵金)を捕捉し、一般財源と借金減らし(国債償還)に活用することをただちに考えなければならない。 消費税の引き上げは順序として、その後である」【本文より】 *本書の目次 はしがき 序章 浮上してきた「特別会計」問題 官僚の意のままに使われる国家予算 行政と一体化する政治の退廃と没落 特別会計とは官製事業の「資金源」 天下りネットワークに使われる特別会計 「政」と「官」が演出するまやかし改革 特別会計の「埋蔵金」を独立行政法人に移転させる奇策 都市再生機構の「随意契約」は、インサイダー取引と同じ 政府の行政改革は、形ばかりの「偽装改革」 第1章 国民の目から隠された、特別会計の全体像 戦前に創設された特別会計が、現在もなお存続する理由 特別会計とは何か 特別会計の資金規模は一般会計の5倍 行財政改革の「マスターキー」は特別会計 「埋蔵金」は一過性のものではない 天下り先を培養する「官のサイフ」 特別会計の変遷 高度経済成長期に、戦後のピークを迎える 特別会計は、なぜ分かりにくいのか 理由1 複雑怪奇な資金の流れ 理由2 財源の「入り」も不透明 理由3 予算の使途も不明朗 理由4 特別会計から法人への「出資」に、情報開示なし 理由5 財政規律の弛みが生む混乱 肥大化する特別会計と奇妙な特性 毎年、一般会計の6割を繰り入れ 特別会計の「国債」「地方」「社会保険」で繰り入れの9割 “借金漬け”が会計規律をズタズタにしてしまった 「沈黙の会計」として国民の目から逃れる 国民の財産であるNTT株が、特別会計に移し替えされた 複雑な仕組みで制度を温存する官僚的処世術 第2章 「特別扱い」を受け続ける特別会計の実態 「官」が自由自在に操る魑魅魍魎の世界 特別会計に従属する一般会計 財政法が、特別会計の「特別扱い」を定める 同格以上に、「異なる定め」を認めた新「財政法」 「一般会計からの繰り入れ」は、諸官庁の判断に委ねられる 埋蔵金の「積立金」「剰余金」に新ルール 特別会計の借金を一般会計が肩代わり 特別会計の借金は結局、国民が負担することになる 特別会計はいつでも自由に借金できる 繰り越しも、「特別扱い」される特別会計がある 予算以上の収入があれば、自由に使える「弾力条項」 財務チェックの機能不全 ようやく決算書に「経費別内訳」が添付 特別会計に「シーリングなし」は、時代遅れ 第3章 特別会計の「ムダ」 損失の大穴は税金で補填、官製事業を支える幽霊会計 野放図な不透明出資 特別会計から法人に、15兆円近い出資 趣旨のはっきりしない出資金の主役 一般会計からの繰り入れがあるからこそ、巨額の出資が可能に 官製事業への出資金2640億円が回収不能 核燃料サイクル開発機構の解散・統合時に、巨額の損失処理 巨額な補助金が、ムダの温床に 財投特会からの貸付金216兆円の行方 特別会計に対する各省の「わがモノ意識」の起源 予算執行の最終責任は財務大臣ではなく、所管大臣 道路財源は「蜜」の味 特別会計のほとんどが“築後30年”以上に 特定財源は複雑な水路を辿って、特別会計に流れ込む 高速道路の通行料1000円のカラクリ 採算割れの恐れがある、スマートインターチェンジという名の「実験」 道路財源の一般財源化に、全国知事会はなぜ反対したのか? 閣議決定を無視した“隠れ工法”で、道路建設を推進 「抜け道高速」を造っては、高速道に編入 国交省は道路建設の独裁者か? 高速道路会社の「借金なき建設」のカラクリ 機構と高速道路会社が結託して、未償還債務を調整 第4章 国民の前に明らかにする「究極の制度改革」 埋蔵金は毎年10兆円を掘り出せる大金脈 政府がついに埋蔵金の存在を認めた 規律なき繰り越しと積み立て 特別会計の不用金10兆円強も、毎年活用できる 財務省の特別会計見直し対象は、わずか3% 特別会計改革の矮小化を図る財務省 埋蔵金の真実 剰余金42兆円は、消費税16.8%に相当する 「積立埋蔵金」は、ほぼ50兆円規模に達する 積立金は為替変動に対応というウソ 埋蔵金50兆円で、経済危機に対応する新基金を 埋蔵金の発掘 特別会計からの貸付金9兆4000億円を洗い出す 18特別会計が使い残しの常連で、公共事業系が目立つ 活用実績が1回しかない地震再保険特別会計 埋蔵金を交付金という形で、独立行政法人に移転 特別会計の資金で、最大の積立金を持つ雇用・能力開発機構 独立行政法人にも2兆円超の「埋蔵金」 天下り公益法人にも、10兆円規模の「埋蔵金」 道路関係の公益法人は随意契約で儲け、内部留保も膨大 日本版統合会計への道 「統廃合」しても、人員や事業はそのまま継続 天下り先法人を養うことが「自己目的化」 ムダは特別会計、独立行政法人、公益法人と連鎖していく 主要国の会計には、日本の特別会計のようなシステムはない 究極の会計制度は、国民の目が届く「陸上競技場方式」 資料 各特別会計の概要と09年度予算 あとがき | ||