NAGURICOM [殴り込む]/東山明
■Online Journal NAGURICOM
山明の『気圧の魔』研究会報告
第6章 気圧と酒について その2
引き続き、当会宴会部長の力作の掲載である。

 前回、気圧と健康との関係の中で「顆粒球と活性酸素」というキーワードが登場しました。今回はこのキーワードと関連する自律神経と白血球、それと気圧の関係を詳しくみてみたいと思います。

一読の価値あり、安保徹『未来免疫学』

 気圧と活性酸素については、前回紹介したテレビ番組に登場した新潟大学の安保徹氏 の著書『未来免疫学』が詳しいので再度紹介します。気圧と健康について書かれた数少ない平易な文献で、「気圧の魔」に興味がある方は是否ご一読ください。
 冒頭に「晴れの日には虫垂炎が多い」という話が登場します。
 前回は、はしょり過ぎた部分もありましたで、再度高気圧の影響を流れに沿って説明します。
−「晴れた日に虫垂炎(一般にいう盲腸炎)が多い」−
 晴れた日は高気圧(空気の密度が高い状態)で酸素が多い。人間は活動的になり呼吸が活発になり、必要以上に酸素を体内に取り込んでしまう。
 しかし、酸素も多ければ体にとってストレスになる。ストレスは自律神経(交感神経と副交感神経からなる)を交感神経緊張に導きます。交感神経緊張で体から出るホルモンは、ご存じアドレナリン。アドレナリンを感知するレセプター(受容体、簡単に言えば刺激を感知するセンサーみたいなもの)を持った白血球(顆粒球、リンパ球、マクロファージから成る血液の構成要素)は顆粒球。で、これが増える。顆粒球は細菌を殺すために活性酸素を出します。その活性酸素が過剰防衛で細菌だけでなく虫垂の粘膜までも破壊して虫垂炎になるというわけです。

 何やら医学的(私がそう思っているだけですが)な用語が多数でてきてしまいました。実は私にとっては「活性酸素」だけでも手強いのですが、ここで、登場した用語と関連情報の整理をしておきたいと思います。
 まず自律神経です。自律神経は交感神経と副交感神経からなっています。交感神経はスポーツの試合前等の興奮緊張状態を作り出す神経、副交感神経は食事後の胃の消化など休息時の状態を制御する神経というように分類されます。通常の人間で、普通の生活をしていれば、昼間は交感神経優位の状態にあり、逆に夜は副交感神経優位の状態にあるといえます。交感神経と副交感神経はシーソーのようにいつも反対に働き、一方が強くなると一方は休みます。あらゆる器官には両方の神経が行き渡り絶えずバランスを取っています。たまに、このバランスがくずれると、原因不明の病にかかったりして、医者にかかっても原因がわからず、最終的にくだされる病名は「自律神経失調症」ということになるわけです。

「低気圧と副交感神経とリンパ球」

 次に自律神経と白血球の関係です。白血球は、顆粒球(60%)、リンパ球(35%)、マクロファージ(5%)から成り、体外から侵入した細菌等から体を守る役割をもっています。そして先ほどの自律神経との関係では、「交感神経と顆粒球」、「副交感神経とリンパ球」がセットになっています。当「気圧の魔研究会」との関連でいえば、「高気圧と交感神経と顆粒球」、「低気圧と副交感神経とリンパ球」と置き換えることもできます。
顆粒球は交感神経緊張によって分泌されるアドレナリンを感知するレセプターをもっており、リンパ球は副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンを感知するレセプターをもっているといわれています。ちなみに環境によって自律神経の状態が変化し白血球を構成する顆粒球やリンパ球の比率も変化します。もちろん変化すること自体に問題はないのですが、何事も度が過ぎると問題になります。例えば極度の緊張が続くと、顆粒球の比率が70%以上になり、脈拍が高めで固定した状態になり、交感神経の対局にある副交感神経が支配する消化器系の機能等を低下させて食欲不振、便秘になったり、交感神経が支配する循環器系の働きが亢進し、動悸等に切迫され常に疲れた状態になってしまうということです。
また低気圧の影響の場合も考えてみると、低気圧という状態は酸素の量が少ないわけですから、基本的に体の諸機能の働きが低下し変化が遅くなり、脈拍も低下して副交感神経優位の状態になります。脈が低い状態自体は悪く無いのですが、脈が低めで固定している状態−副交感神経優位の状態が持続している状態、リンパ球の比率が40%前後−では下痢やアレルギー、うつ状態になるといわれています。

 つまり「気圧の魔」は、気圧の変化が白血球に含まれる顆粒球、リンパ球、マクロファージのバランスを変化させることによって引き起こされるということになります。
なんとなく、気圧とからだの関係が医学的に見えてきた感じがします。まだまだ私の理論に対する理解が消化不足のためわかりやすく説明できませんが。しかしそろそろ肝心の酒との関係を見ていかないと果てしなく脱線してしまいそうです。それでなくとも医学用語に頭かかえていますからもう大変です。
次回以降は気圧と酒の関係から、「酒を飲んだとき、何が起こっているか」、スカベンジャー、抗酸化剤の登場、活性酸素を抑制する食品等、具体的な対処(酒を飲む前にしておくこと、酒を飲んでいるときにすること、酒を飲んだあとにしておくこと)について報告していく予定です。

今回の参考書籍、サイト等
安保徹『未来免疫学−あなたは「顆粒球人間」か「リンパ球人間」かー』(株)インターメディカル ISBN4-900828-04-1 1810円(外税)
游氣風信 No102「未来免疫学と自律神経」三島治療室便り'98,6,1


★情報をお寄せください
『気圧の魔』研究会まで、メールおまちしています

[ Higashiyama INDEX ]


ご意見・お問い合わせトップページ

Copyright NAGURICOM,2000