■Online Journal NAGURICOM
 


矢野直明
『女性がひらくネット新時代』
岩波書店■本体2200円+税
インターネットの今と、女性の元気なわけがよくわかる!!



インターネットの海をかろやかに遊弋しながら、新しいサイトを次々に立ち上げる七人の女性の波乱万丈の物語。

■粟飯原理咲_インターネットわくわくレディの華麗な冒険
 おとりよせ.net http://www.otoriyose.net/

■山田メユミ_化粧品ユーザーによる化粧品「クチコミ」ガイド
 アットコスメ http://www.cosme.net/

■小久保徳子_ネットの信頼を取り戻そうとする同窓会サイト
 この指とまれ!(通称“ゆびとま”)http://www.yubitoma.or.jp/

■田澤由利_転勤族の妻が北海道北見ではじめたネットオフィス
 ワイズスタッフ http://www.ysstaff.co.jp/

■関根千佳_ユニバーサルデザインを旗印にネット社会に挑戦
 ユーディット http://www.udit.jp/

■新川てるえ_自らの体験からシングルマザーサイトを立ち上げる
 母子家庭共和国 http://www.singlemother.co.jp/

■二木麻里_インターネット草創期にはじめた情報の整理箱
 アリアドネ http://ariadne.ne.jp/



 近ごろ女性がことさら元気に見えるのはなぜだろうか。著者はその原因をまずインターネットという新しい道具と女性の相性の良さに見る。それはインフラ整備-の段階からコンテンツづくりへと重点を移しつつあるインターネット発展と無縁ではない。ヒエラルキー的権威=男性原理、ネットワーク的つながり=女性原理という面も無視できまい。

 ついで著者が注目するのは、インターネットが引き起こす未曾有の社会変革が、女性に大きな活動の場を提供しているという社会的側面である。「インターネットと女性は相性がいいという事実の奥にあるものは、インターネットがもたらすドラスティックな社会変革が、女性に男性と同じ活動の場を用意したということであり、だからこそ、いま女性が元気に見えるということだろう。女性の活躍がことさらめだつとすれば、ウサギとカメの競争のごとく、遅れてきた者が先に行こうとしているからでもあるだろう」。「じつはいま、男性も女性も、老いも若きも、すべてが激動する社会の渦中にいる。これまでの社会原理を組み立て直そうとする新しいうねりのなかで、男も女も同じ土俵に乗っている。だから、女性がインターネットの力で既存社会にどんどん進出しているというよりも、新しい社会をしなやかに、柔軟に、しかも確実につくりあげようという大きな流れに、嬉々として身を投じているのだ、といったほうがいいかもしれない。その分、ヒエラルキー構造に安住していた男性の旗色は悪い」<最終章「インターネットには女性がよく似合う」から> 。




 この本は、著者が明治大学客員教授として昨年行った同大学のシンポジウム「IT社会に巣立つ女性の必修シンポ」をもとにしている。これからのIT社会で活躍しようとする若者に元気を与えるようにと願って書かれているが、一般の人にもかっこうのニッポンIT社会最前線ルポになっている。


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