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矢野直明
『インターネット術語集』
岩波新書■本体価格660円
 「サイバーリテラシー」3部作の第1作。
 インターネットの仕組みはどうなっているのか、それはどのような人びとによって築き上げられたのか、またインターネットが生み出した新しい情報空間、「サイバースペース」とはどのような構造や特性をもっており、私たちの現実生活にどのような影響をおよぼすのか……。

 新たなるメディア・フロンティアとも言える「サイバースペース」の本質はあまり理解されていない。匿名で通信できるのを悪用した犯罪の取り締りなどを名目に、場当たり的な規制策だけが進行すると、かえって私たちの住む現実空間が息苦しいものに変えられる恐れもある。科学・技術、政治・経済、法律、文化、犯罪と多岐にわたるサイバースペースの諸問題を術語本位に解説しながら、インターネット全体の姿を捉えようとしたのが本書で、「サイバーリテラシー」という考えは、最終章で著者によって提起されたもの。



 スパムが、頼みもしないのに送りつけてくる広告メールUCE(Unsolicited Commercial Email)のことだというのは、ご存知の方も多いだろう。もともとスパムはコンビーフに似た豚肉の缶詰のことで、日本でも500円ぐらいで売っている。少ししょっぱくてややしつこい味だが、野菜といっしょにいためて食べると結構おいしい。この豚肉の缶詰がなぜ迷惑メールを指す言葉になったのか……。

 取り上げた項目は4つに大別されている。(1)サイバースペース、シミュレーション、インタラクティブ、リンク、オープンソース、匿名といった、コンピュータあるいはインターネットの基本的考えに関するもの、(2)ドメイン、IPアドレス、プロバイダー、ポータル、ストリーミング、電子商取引、文字コードなど、インターネットを使う際の基礎知識、(3)不正アクセス、盗聴法、暗号、ウイルス、クッキー、プロバイダー、著作権といったサイバースペースの諸問題、(4)ハッカー、クラッカー、セルフガバナンス、メディアリテラシー、サイバーリテラシーなど、サイバーリテラシーに関するもの。

 読者の便を考えて、巻末にサイバースペースを理解するための約50冊の基本文献と、取り上げた270項目の用語索引が付せられている。

【書評関連リンク】
明治大学教授夏井高人氏のホームページ「新刊図書の紹介」
http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/books/books_new.htm


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